会報「狭山大運動」第22号(2024.4月10日号)

狭山事件61ヶ年・死刑判決60ヶ年糾弾

全国から5・23東京高裁前へ

3・15狭山要請行動

東京高裁への要請行動にむけ、「家令裁判長は、裁判所の責任で万年筆インクの鑑定を行え」とシュプレヒコール

東京高検前で「鑑定人尋問への妨害をやめろ」「全証拠を開示せよ」と拳をつきあげる要請団

東京高裁前に駆けつけた袴田事件再審弁護団の村﨑修弁護士は、袴田事件につづき狭山の再審を実現しようと訴えた。

昼休みの東京高裁前で、署名に協力する二人の男性

当面の取り組み

◆大阪・街頭宣伝 4月21日(日) 14時から15時 JR 京橋駅

◆5月23日(木) 狭山闘争 ―要請行動・東京高裁前行動―

          10時半・弁護士会館

狭山勝利への若者の思い

狭山第3次再審闘争を取り組む若者が、どのように考えているのか取材しました。今回はシリーズ企画第1回。

  

 誰だって「石川一雄」になる

 

 田中 さき(30代 仮名)

 

 私は被差別部落に生まれ育った。

 1963年5月に狭山事件が起き、逮捕されたのは当時24歳の石川一雄さんだった。 

 私の祖父は石川さんと同じ年だ。「この近くで狭山事件が起こっていたら、おじいちゃんが冤罪で捕まっていたかもしれない」と母から聞かされて育った。

 祖父は逮捕されずに、結婚して子や孫もいる。石川さんも逮捕されていなかったら、子や孫がいたかもしれない。幼いころからやっていた狭山の運動は「石川さんの無実を勝ち取る運動」ではなく「自分のおじいちゃんの無実を勝ち取る運動」だった。

 部落差別がある限り、どこだって「狭山」は起きる。誰だって「石川一雄」になるからだ。あなたの、お父さん、おじいちゃんが「石川一雄」なのだ。

 

 政治を変えることが狭山の運動につながる

 

 部落解放運動はやっていても、数年前まで政治には無関心だった。

 沖縄の辺野古新基地反対の座り込みに参加したとき、現地の方に「あなたが逮捕されても今は何も変わらない。政治を変えないとダメ。地元で政治を変えなさい」と言われ、目が覚める思いがした。

 その後、今までうっとうしいと感じていた選挙に行くようになり、応援する候補のボランティアをするようになった。

 ある候補に出会い、「戦争と差別をなくすために選挙にでる」という志に胸をうたれ、

その選挙を闘い抜き、見事当選した。その直後に祖父は他界した。

 今はその議員とともに活動し、再審法改正に関する質疑や、狭山の集会参加、現地調査なども行っている。これが私なりの解放運動の一環でもあると、信念をもって毎日活動している。

 

 狭山事件から60年を越え、今まで狭山の運動に走り続けてきた石川一雄さんは85歳になった。石川一雄さんだってひとりの人間。歳を重ねるごとに体にもガタがくるのは当たり前だ。残された時間はわずかだ。だから、代わりに次世代である私たちが走り抜き、石川一雄さんが生きている間に、見えない手錠をはずしたい。そして、空にいるおじいちゃんに報告できる日を絶対に掴み取る。

 署名を共同で100万に!

5・23行動の主催ひきうけ

 

 3・21狭山大運動(略称)代表者会議

 

 狭山事件の再審を実現する大運動(略称・狭山大運動)の代表者会議が、3月21日、 

東京・むさん法律事務所で開かれた。

 長谷川弁護士、部落史研究家・本田豊氏、関西から鶴丸春吉氏の各共同代表と事務局が参加した。

 この間の活動として、2・23市民の集い関西集会が昨年をこえる参加者で盛況だったことや、街宣や映画学習会など草の根の取り組み、3・15要請行動が報告された。

 狭山再審をめぐる状況として、2・27三者協議でプレゼンテーション実施が決定されたことが報告された。さらに2月26日のNHK「おはよう日本」、毎日新聞でのとりあげ等のマスコミでの狭山報道が紹介され、これを非常に重視していくことが確認された。

 また、3・11に再審法改正へ超党派の議連が発足したが、大運動としても今後、法務省にたいする要請行動を決定した。

 

 袴田との連携強化

 

 袴田再審は、3月25~27日に静岡地裁で検察、弁護側証人尋問をふまえ、5月22日に結審となる。狭山ー袴田の連携強化を確認した。

 「再審勝利5か年」の課題として、石川さん夫妻との連帯のもと、市民の会署名を共同で100万筆実現をめざし、その目標にむかって23デ―の月一行動、現地調査、小集会・学習会、映画・紙芝居など草の根的にとりくむことを決定した。また、この過程を、侵略戦争反対(ウクライナ、パレスチナ反戦)と結合してたたかうことを確認した。

 何より重要な点として、事実調べの実現にむけた決戦として、5・23に全国から結集し、狭山大運動(略称)主催による東京高裁・東京検察要請行動、東京高裁前行動、さらに法務省行動を行うことを決定した。

 

寄稿 鶴丸春吉  

3・30  

地域ビラ3千枚配付・能登半島地震ボランティアと連帯し、 狭山事件の映画と講演会、実現  

主催 寝屋川市民の人権を守る会  

 

 能登半島地震では、ボランティア2万5千人が登録していますが、土曜・日曜でも200人しか当選しません。トラック持ち込みでやっと当選して、4月13日土曜ボランティアに行くと報告しました。

 映画「狭山の黒い雨」を見てたら、若い時の石川さんに会えた気がしました。部落の青年仲間と酒を飲んだ時に鶏をとったこと、トラックで寝てた時に借りた上着を返し忘れていたこと、それらが別件逮捕の理由とされて、合わせて20年の刑になると言われ、中田さんをヤッタと言えば10年の刑ですむ、と言われても、やっていないと言い続けた。そして釈放されたその日に再逮捕されて、夜中まで取り調べられ、意識がもうろうとする中で、地下タビが家から出てきた。

 お前でなければ、兄を逮捕すると言われて、嘘の自白をしてしまったこと。一審で死刑判決が出された後の留置所で、警察からだまされていると話されて、控訴審で殺してないと叫んだこと、見ていて、胸が熱くなりました。

 七堂眞紀弁護士は、「これまで狭山弁護団が、第3次再審以後から三者協議を実現し、 

検察側証拠に科学的根拠がないことを示してきたこと、脅迫状の筆跡、石川さんを見たという証言者が証言を否定したこと、地下タビの跡が不正確、B型血液検査が不正確、万年筆とインクが中田さんの物ではないことなどの11人の専門家の証人尋問の実施を求めてきた。」と話された。また家令裁判長は、裁判の科学的審理の論文を出してる人で、3月の三者協議で弁護団からの裁判要点説明のプレゼンテーション要請を受けたので、今後の審理は進んでいくのではないか。弁護団としては、証人審理に応じてもらうだけです、と言われた。

 質疑で、袴田のように狭山弁護団も記者会見してほしいと意見が出され、弁護団に伝えると言われた。今年か来年にも証拠開示制度などが改正されれば、狭山再審も実現するのではないか、と質問されると、弁護団としては、改正を待つまでもなく事実審理を実現していきたい、と答えられた。

 

 参加者の熱気が上がりました。

会報「狭山大運動」第21号(2024.3月10日号)

今こそ東京高裁・家令和典裁判長のもとへ

「鑑定人尋問を行え」の声を届けよう

3.15 要請行動から 

狭山事件61ヶ年・死刑判決60ヶ年糾弾 5・23東京高裁前へ

当面の取り組み

 ◆狭山要請行動

 3月15日(金) 集合 正午 東京高裁前

 ◆5・23狭山闘争

 要請行動・東京高裁前行動

2・23 狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西

(主催:同実行委)

 石川一雄さん、早智子さんからビデオメッセージが寄せられた。

 石川さんは、「石川一雄は元気です。勝利するまで石川一雄は死にません。」「新しい裁判長には万年筆の鑑定を是非させるように、みなさんの声を司法に届けて欲しい。」と訴え、早智子さんは、「この元気なうちにえん罪を晴らしたい。強く強くそう思います。」「24年。今年こそ、今年こそ。」と呼びかけました。

「垣根をこえて」をテーマにした今回の集会は、西成区民センターに昨年を超える360人以上が参加。

 集会では、地元あいさつで部落解放同盟大阪府連合会書記次長の袈裟丸朝子氏(リモート)、議員あいさつは大石あきこ衆議院議員(れいわ新撰組共同代表)、野村生代枚方市議(立憲民主党大阪府連幹事長)、連帯あいさつで吉崎なおみ氏(天王寺夜間中学同窓会会長)の発言がありました。(紙面の都合で写真掲載は省略)

 えん罪アピールで、東住吉事件えん罪被害者・青木恵子さん、湖東記念病院事件えん罪被害者・西山美香さんと共に登壇した、袴田事件えん罪被害者家族の袴田ひで子さん。「次は石川さんの番」「えん罪で苦しんでいる人たちみんな、一日も早く無罪になってほしい」と訴えました。

「市民のつどいin関西」報道(つづく)

◆黒川みどりさん(静岡大学教授・近現代史)による「石川一雄さんの歩みと私たちの課題」と題した記念講演が行われた。

◆イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IJP・旧名:えん罪救援センター)運営委員の伊藤睦さん(京都女子大法学部教授)と学生ボランティアによる模擬裁判。

◆ライブ演奏を終えたカオリンズとアカリトバリに集会スタッフが加わり合唱。


◆集会の最後に、全参加者が「新証拠の鑑定をして裁判のやり直しを」と書かれた紙を一斉に頭上に掲げた。

◆集会後、新今宮駅までパレードが行われた。横断幕を掲げパレードの先頭に立つ、西山美香さん(左。湖東記念病院事件えん罪被害者)、青木恵子さん(真ん中。東住吉事件えん罪被害者)。


2.17 大阪環状線キャラバン 狭山大運動(略称)も合流

(主催:狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会)

◆JR新今宮駅前

  写真⑧午前10時からの街宣終了後、参加者全員でシュプレヒコール。

◆JR天王寺駅連絡橋

 写真⑨正午から連絡橋での街宣。マイクで訴える狭山事件の再審を求める釜ヶ崎住民の会の山中さん。多くの市民が署名に協力。

◆JR天満駅前

 

 写真⑩午後2時半からの駅前街宣。通行する市民も多く、多くの人が署名に協力。


会報「狭山大運動」第20号(2024.2月10日号)

石川一雄さん85歳、第3次再審請求から18年

  東京高裁はいつまで放置を続けるのか

東京高裁・家令和典裁判長は一刻も早く鑑定人尋問を行え

続報 狭山関西キャラバン

(主催:狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会)

1.20 奈良方面キャラバン 

狭山大運動(略称)も終日、行動に参加

近鉄奈良駅前

 14時から近鉄奈良駅前。市民と地方や外国人の観光客が駅前に溢れる中での街宣。一日の行動を終え、参加者全員で「狭山再審へがんばろう」と腕をつきあげ。

 

近鉄桜井駅前

 12時から近鉄桜井駅前で街宣。多くの人が駆けつけ、人権活動家の淺川肇さん

が狭山再審の実現を訴えました。写真は、マイクで訴える淺川肇さん。

近鉄大和高田駅前

 10時から近鉄大和高田駅歩道橋で街宣。市民の反応は大きく、ビラを受け取り自ら署名板に名前を書く人も。

 

街宣後の交流会

 ぷらっとほーむ奈良の共同代表を務める堀田美恵子さんの呼びかけでもたれた交流会。参加者それぞれの取り組みや課題など多くの意見がだされ、今後の運動のつながりや広がりへの展望が感じられた。



当面のスケジュール

 

◆狭山要請行動

 3月15日(金) 正午 東京高裁前

 

◆狭山事件の再審を!関西キャラバン

 主催 狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会

 2月17日(土) 大阪環状線方面

 

◆第8回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西

 2月23日(金・祝日) 正午開場 13時開会

 会場 西成区民センター ホール 

 主催 狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会

 ※詳細は、団体HP(sayamakannsai.com)をご覧ください。

続報 狭山関西キャラバン

1.27 宝塚・川西・伊丹キャラバン

 15時から、JR伊丹駅連絡橋で街宣。多くの市民が行き交うなか、伊丹市議会議員をはじめ16人が集まり、マイクでの訴えとビラの配付・署名を取り組み、署名は20筆をこえる大きな成果をかちとる。最後に参加者全員で頑張ろうとの声をあげた。


伊丹駅前 4名の市会議員が参加

マイクで訴えるおおつる求議員

市民にビラを渡す高橋あこ議員

写真⑧通行する多くの市民にビラを配付する岸田まさと議員。この他、保田憲司議員も街宣に参加。


阪急 川西能勢口駅前

 12時から阪急川西能勢口駅連絡橋での街宣。能勢町議会の難波希美子議員が駆けつけ、狭山の再審を実現しようとマイクで訴え。

 

JR宝塚駅前

 写真⑩10時から、JRと阪急をつなぐ連絡橋で街宣。マイクを使用せずに、20名をこえる署名の協力。


 

狭山大運動(略称)会員の皆様へ

 

年会費更新のお礼とさらなるお願い

 

 会員の皆様。

 狭山大運動(略称)へのご協力、心から感謝申し上げます。これからも石川一雄さんと

心を一つにして、狭山第3次再審実現にむけ、より一層の奮闘を重ねて参ります。

 先月の会報(第17号から第19号の三部)発送の際、「狭山大運動(略称)年会費更新の

お願い」を同封いたしました。その訴えの甲斐あって2月8日現在で、66名の会員からの

更新年会費の納入をいただきました。

年会費更新にご協力いただいた会員の皆様には、心から感謝とお礼を申し上げます。

 

 皆様の会費が運動を支える力

 

 しかしまだ多くの会員の方々の年会費更新の払い込み手続きは、停滞しています。

 誠に恐縮ですが、できるだけ早期に、年会費更新の払い込み手続きをしていただくこと

を、改めて訴えます。

 「年会費更新のお願い」にも記しましたが、狭山大運動結成から一年半。毎月の会報発

行をはじめ積み重ねられてきた取り組みはすべて、会員の皆様の会費納入によるご支援・

ご協力があればこそ、実現できました。しかし今、皆様から寄せられた会費は、底をつき

つつあります。

 正直申し上げて、極めて厳しい危機的状況に直面しているといえます。

 何としてもこの現状を打破するため、早急に会員の皆様の年会費更新の払い込みをお願

いする次第です。

 狭山第3次再審闘争は、東京高裁刑事第4部家令和典裁判長が新任し、新たなステージ

を迎えています。今年こそ、鑑定人尋問実現・再審開始へ、共にたたかいましょう。

会報「狭山大運動」第19号(2024.1月10日号)

今年こそ、鑑定人尋問実現へ

 東京高裁・家令和典裁判長は

 石川さん無実の新証拠を認めよ

1月6日 年明け早々の狭山街宣の取り組み

狭山事件の再審を!関西キャラバン

狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会 主催

 

午後3時からJR高槻駅での街宣に狭山大運動から5人が合流

石川一雄さん年頭メッセージ

 

 新年おめでとうございます。

 

 すでにご承知のように先般、私の第3次再審請求を担当する東京高裁第4刑事部の裁判

長が大野裁判長の定年退官によって新しい裁判長に変わりました。期待していた大野裁判

長は、インク鑑定や事実調べについて積極的な姿勢を示さないまま、また、弁護団が求め

ていた証拠開示の勧告についても何の結論も出さないまま退官してしまい、残念無念でな

りません。何のための黒い法服を着ているのか。黒はどんな色にも染まることがないこと

から裁判官の公正さを象徴しているのではないのか。との思いがこみあげます。

 

 幾度も三者協議を重ねる中で、私、石川一雄に対する無実性を示す証拠の存在をつぶさ

に熟知していた筈であり、またこの間、鑑定人尋問を要請した52万筆を超える署名も提

出されました。52万筆の署名の後ろには、多くの人々の「鑑定人尋問を行え」という熱

い思いが込められています。新たに就任された家令和典裁判長には、ぜひ、私の無実を示

す科学的証拠を精査され、事実調べ・再審開始を求める52万筆の署名の重みを受け止め

て、インク資料の科学的鑑定の実施と鑑定人尋問、そして、証拠開示勧告をおこなってい

ただきたいと強くお願いしたいと思っています。

 

 一生懸命署名集めに奔走して下さった多くの方たちや、長い間支援して頂いた方々が、

がっかりされたかもしれませんが、もう一度再審闘争にお骨折り下さいますよう、伏して

お願い申し上げます。私も再度出直す心境で取り組んでまいります。

 

 また昨年末には、狭山弁護団事務局長として、長年狭山闘争勝利に向けご尽力頂いた中

北龍太郎弁護士がご逝去されました。闘い半ばで亡くなられたことは悲しく、また残念無

念でなりません。一日も早く、先生に勝利の報告ができるよう、精いっぱい闘い抜きます

 

 支援者皆様方にありましても、何卒ご協力の程心よりお願いいたします。

 まずは年頭に当たり私の決意といたします。

 

越年し今年こそはと自分に問う 支援者有っての光輝来たる 

 

 

  2024年1月

                                石川 一雄

当面のスケジュール

 

◆狭山要請行動

 3月18日(月) 予定

 

◆狭山事件の再審を!関西キャラバン

 主催 狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会

 1月20日(土)奈良方面

 1月27日(土)伊丹・宝塚方面

 2月17日(土)大阪環状線方面

 

◆第8回狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西

 正午開場 13時開会

 会  場 西成区民センター ホール 

 主  催 狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西実行委員会

※詳細は、団体HP(sayamakannsai.com)をご覧ください。

狭山大運動(略称)共同代表の年頭アピール

長谷川直彦 弁護士

 

  明けましておめでとうございます。

 今年こそ正念場 いよいよ激動の2024年が始まりました。当初の予想では昨年内に証人の採否が決まると思われていましたが、諸般の事情により昨年内には決着せず、本年に先送りとなりました。次の年に持ち越しというのは狭山裁判では珍しくはないのですが、今回は間違いなく最後の持ち越しであり、更なる持ち越しはありません。まさに今年が正真正銘の正念場です。

 狭山事件の再審をかけて、何が何でも「証人採用―証拠調べ」を実現させなければなりません。それもアリバイ的な証拠調べではなく、完膚なきまでに無実を証明するための証拠調べをです。

 とりわけ万年筆のインクは重要です。被害者はジェットブルーのインクを使っていたのにジェットブルーのインクの痕跡がないならば、万年筆は明らかに被害者の物ではなく、ねつ造の証拠ならぬ「証拠」です。昨年末に判決のあった大川原化工機事件(民事)では、現職警察官がねつ造を認めるなど、警察が組織的に事件を意図的にねつ造したことが満天下に明らかになりました。狭山事件も全く同じです。とにかく生きた犯人を捕まえろという号令の下で、犯人は誰でもよかったのだろうと思います。

 将来に後悔を残さないために、狭山事件の再審にむけて全力をもって闘いましょう。

部落史研究家 本田豊さん

 

□石川さんから学ぶことは多くあります

 狭山事件の〈犯人〉とされた石川さんが無実であることは、今では多くの人たちに知られる事件となった。全国連をはじめとした様々な人たちの運動の成果である。

 石川さんと同様に、えん罪事件にまきこまれた人たちに共通しているのは、〈犯人〉とされた当時、経済的に貧しかった、学力が低かった、という状態にあった。身体に障碍をもっていた人もある。えん罪にひっかけられやすい人の共通性がみてとれるが、現在でも若者は、こうした条件にある者が特に狙われているそうだ。

 

 今より声を大きく

 

 担当の裁判長が変わったから、少しの間、石川無実の請願運動も小休止となる。こうし

た時に別のあらゆる方法を駆使して、今よりも声を大きくいろんな方法で石川無実の声を

大きく上げていきましょう。

社民党 寝屋川支部長 鶴丸春吉さん

 

 私は昨年7月に狭山大運動関西集会に、大椿参議院議員や大石衆議院議員らを賛同人になってもらって、成功して嬉しかったです。10月に共同代表に推薦されてなりました。これまで全国連の運動を外から見ていて、私が大阪教育合同労組の結成に参加し、副委員長となり、他労組や政党、市民運動に働きかけて運動をやってきた経験から見て、全国連は他への働きかけが弱いと思っていました。

 11月24日の東京高検、高裁の要請行動で、長野県連の小林さんの高裁前アピールが、今

まで石川さん無実の新証拠269点が提出されたが証人尋問にも応じないと、詳しく丁寧

で素晴らしいと思いました。農水省の食堂で一緒に弁当を食べながら須坂の栗のことを聞

きました。

 大運動の会議でもマスコミ対策、今後の戦略を自由に話し合えました。終わって居酒屋

でも長谷川先生、井橋、内本さんらの人柄の良さを感じました。鶴丸という名前が珍しい

と聞かれました。父方は佐賀県の龍造寺家の家臣で殿様からもらったと聞いています。江

戸時代が終わり、武士が無くなり、長崎の三菱造船の職工になったそうです。母方はキリ

シタン大名の大村純友の時に274戸全部がキリシタンになり、禁教令で改宗した隠れキ

リシタンの村です。その前はわかりません。

 

 信頼が大切

 

 しかし、人類が30万年前にアフリカで発生し、てくてく歩いてきた子孫だから、人類は

共生したら良いのに、今なお国境を作り、国家の権益で戦争をしています。愚かだと思い

ます。カンブリア宮殿を見て文藝春秋を読みながら、組織や運動は閉鎖的ではダメ、色々

なことを試行錯誤し、ウソは言わない信頼が大切だと思っています。共にがんばりましょ

う。

「アゲインストの会」代表 教育労働者 

宮川謙二さん

 

私と狭山

 

 出会いは、勤務先が1976年意岐部東小学校に配属された時になります。同校は、開校初年度でもあり、“同和推進校”として衆目を集めていた頃です。地元荒本の地域では以前より、5月31日に“狭山同盟登校”が計画され、それに向かって村を挙げての取り組みが進められていました。その頃、保護者の方々の熱い思いが、村中に溢れていたのを今も思い出されます。4月開校そして同盟登校。戸惑いながらも校区への“狭山”に対する理解を得るための職員会議、そして家庭訪問が連日展開されました。その間、狭山関連の書籍を読み漁っていたのを思い出されます。そして、子ども達への狭山学習。

 

 忙しさの中で学ぶ

 

 4月そして5月31日と短い期間ではありましたが、立ち止まることさえ許されない程の

忙しさであったことを思い出します。けれど、子ども会を中心とする青年たちの溢れるよ

うな情熱を受け、学ぶ中で差別・権力犯罪の実態を、個々の差があるもののしっかり学習

することができたように思います。学習は多岐にわたり、千葉刑務所収監中の石川さんへ

の激励手紙、寄せ書きなど工夫したものもありました。意岐部東小学校第一回運動会では

、くす玉わりでは「石川兄ちゃんを返せ!」の垂れ幕が参加者の拍手と共に降りてきまし

た。

 そうしたことが原資となり、それぞれの学校現場で取り組みが広がっていったように思

います。

 

狭山事件の再審を!関西キャラバン

午前10時から滋賀県JR草津駅での街宣。署名に応じる男性。

写真⑦正午から、京都駅タワー前での街宣。この日一番多くの署名が集まる。


会報「狭山大運動」第18号(2023.12月10日号)

石川さんに寄り添う、支援体制の強化へ

要請行動・草の根運動の両輪で  狭山大運動のさらなる推進を

「大野勝則裁判長は、12月退官前に鑑定人尋問を決定せよ」の声響く 

11・24狭山要請行動

東京高検前で怒りのシュプレヒコール

東京高裁前でのマイク宣伝を聞いて署名する市民

 12時すぎから午後1時まで、東京高裁前での街宣が取り組まれた。東京高裁前は、通行する市民がこれまでで一番少なかった。その状況下でも10人の市民が署名に協力してくださった。

11月 各地の狭山街頭宣伝

 

11.23 大阪

大阪・京橋駅での街宣。横断幕を掲げた署名机に立ち寄り、署名する市民。

11.26 奈良

JR奈良駅で署名に協力する市民。

11.26 福岡

天神パルコ前で福岡「SAYAMA」上映実行委員会主催の街宣が取り組まれ、その後警固公園までデモ行進を行った。


11・24狭山要請行動報告

 東京高裁第4刑事部・大野勝則裁判長の12月退官を目前に控えた11月24日、狭山

要請行動が取り組まれた。今回は全国連の長野を先頭に狭山大運動共同代表・鶴丸春吉さ

ん、茨城、東京、中央本部、合計11人が参加。要請行動終了後、東京高裁前で簡単な総

括集会をもち、大野裁判長の退官直前まで事実調べを求めて取り組みを行っていくことを

確認した。

◆東京高検要請行動

 午前11時からの東京高検要請行動には東京高検から、片野担当検事、渡部検察事務官

、公判事務課清水の3人が出席。楠木全国連書記長のあいさつ後、要請文7通を読み上げ。

 

要請団:(前回伝えた)石川さんの年齢はご存じですよね。

 

片 野:質問には答えません。

 

要請団:(1審検事論告をめぐるやり取りをふまえ)なぜ石川さんが貧困であることを犯罪に      

    結びつけるのか。269点の石川さん無実の新証拠を提出している。 

 

片 野:質問には答えません。前回は質問に答えたから時間がかかった。30分の約束を守 

    ってもらう。

 

要請団:前回は全国から参加したので人数が多くなった。前回でもう終わりとするのではな 

    く、今後もやりとりを続けてほしい。

 

片 野:要請行動自体は国民の請願権だと思うが、質問には答えない。

 

要請団:前回一審検事論告を読み、部落差別と思わないと言った。その後勉強したのか。

 

片 野:部落差別問題に関心あった。

 

要請団:前回答えて今回答えない。上司から言われたのか。

 

片 野:サービスと思い対応した。

 

要請団:要請行動での応対は社会的慣行だ。答えるべき。

 

要請団:担当検事が来られている。みなさんから聞きたいことがあるので、一言答えるべ 

    き。上司から叱られたのか。

 

要請団:この場しか直接声を届ける場がない。面と向かって話しても、真摯に受けとめてく

    れているという思いが感じられない。私たちが真剣なのは、一人の人生がかかって

    いるから。

 

片 野:要請は真摯に受けとめている。質問に答えるのは別問題。

 

要請団:部落差別に対する思いに真摯に答えて欲しい。

 

要請団:事件から60年。石川さんの事件だけ証拠開示しない。他の裁判ではありえない、

    異常だ。検事は公務員であり、答える法的根拠があると思う。

 

片 野:答える法的根拠はない。証拠開示は裁判所、弁護団との話であり、この場ではな  

    い。

 

要請団:このやりとりで長引いている。時間を守るよう努力する。その範囲内で答えて欲し

    い。

 

片 野:私はそうは思わない。

 

要請団:片野検事は要請行動は国民の請願権と言った。請願権には誠実に答えなさいと書か

    れている。最大限の誠意を見せるべき。同対審答申には狭山事件の頃の部落差別の

    現実が書いてある。

 

片 野:(同対審答申を)6~7月頃1回読んだ。もう一度読みます。

 

                   終了、11時51分。

◆東京高裁要請行動

 午後2時15分から高裁要請行動。高裁から、小寺訟廷管理官、荒川副訟廷管理官、総務課西田の3人が出席。

 冒頭、小寺訟廷管理官から「30分でお願いします」と発言。

 初めに楠木全国連書記長から「要請したいことは一つ。大野裁判長は狭山を3~4年

担当し、判断する材料は充分であるはず。退官する前に事実調べを決定してほしい」とあ

いさつ。7通の要請文が読み上げられた。

 その後要請団から、大野裁判長の12月退官前の鑑定人尋問を決定して欲しいとの口

頭での要請が続いた。小寺訟廷管理官から、「答えられない」「私からは、言われたこと

を伝えます」との対応に終始した。

                  終了:午後2時56分。

11.24 狭山事件の再審を実現する大運動代表者会 開かれる

― 事実調べ決戦と再審勝利5ヶ年プランを検討 ―

 狭山事件の再審を実現する大運動の代表者会が、11月24日、東京むさん法律事務所において開かれた。関西から鶴丸春吉共同代表(右写真)が初参加し、長谷川、本田両共同代表とともに討議された。

 

  10・31をはじめ、この間のとりくみを総括した。石川一雄さんは、「無罪をかちとるまで死にません」と、必死のアピールをしている。12月に大野裁判長の退官をひかえているが、インク鑑定をはじめ事実調べを最後まで迫っていくことを確認した。

 11月になって、この間の弁護団の意見書等が紹介されたなかで、初めて検察が万年筆・インクの「水洗い」説の補強のために、インクの混合・凝固実験なるものをしたことがわかった。「水洗い」説を徹底批判していく。

 

次回三者協議は来年2月下旬に

  次回の三者協議は、来年2月下旬だが、裁判長が変わる場合、書類の読み込みに半年は要すると思われ、事実調べの判断はさらにその先になるのではないか。

 石川さんは、1月で85歳になられ、糖尿病の進行で視力低下が進んでいる。石川さんに寄り添った、弁護団、支援の一層の奮起が求められている。  

 こうしたなかで、当面1年は、事実調べ実現に全力をあげ、かつ再審勝利まで5年がかりのプランをたてて臨まなければならない。

 

狭山大運動の内実ある推進を

 「狭山大運動」の内実を伴った推進(らしい運動)が求められる。節目ごとの要請行動と、本格的な各地の草の根運動が両輪になるのではないか。とりわけ、中小の集会・学習会、青年への働きかけを重視。また、差別裁判としての部落差別論を深化し、狭山と戦争反対の結合を工夫する。さらに、マスコミ、国会議員対策も検討していく。5年プラン・方針形成まで、数回の論議をしていく。

 

 大運動の年会費の更新が決定された。